薬剤師としてのキャリアは、資格取得後すぐに一人前になれるわけではなく、経験を重ねることで実務力・判断力・信頼を獲得していく過程です。新人からベテランへとステップアップしていく中では、スキルだけでなく人との関わり方や業務への姿勢も大きく変化していきます。どの段階にいても成長意欲を持ち続け、自分に必要な学びや役割を理解することが、信頼される薬剤師になるための基盤となります。この記事では、新人からベテランへと成長していく過程で意識すべき3つの視点について解説します。
新人時代に最も大切なのは、知識や技術を着実に身につけながら、業務の流れに慣れていくことです。調剤や監査、服薬指導といった基本業務を正確にこなすことに集中し、わからないことはそのままにせず、先輩に聞く姿勢を持ち続けることが成長の第一歩です。
最初は時間がかかっても、確認を怠らず丁寧に仕事に取り組むことが、信頼されるための基盤を築きます。毎日が学びの連続であることを意識し、メモや復習を欠かさない姿勢も重要です。自分でできる範囲を少しずつ広げていくことが、成長の実感につながります。
入職して数年が経ち、基本業務に自信が持てるようになると、中堅としての立場が求められるようになります。後輩の育成やチーム内での連携、業務改善の提案など、周囲を見ながら自分の役割を広げていく意識が大切です。
自身のスキルを磨くだけでなく、職場全体の動きを意識しながら行動することで、信頼される中堅としての存在感が生まれます。知識の深掘りや、新しい薬や治療法への関心を持ち続ける姿勢も、より専門的なスキルの習得につながります。
徐々に任される範囲が増える中で、責任を持って仕事を進める力が必要になります。
ベテランには、知識や技術の高さに加え、周囲を支える力や全体を俯瞰する視点が求められます。後輩や新人が働きやすい環境をつくる、判断に迷ったときに助言できる、職場全体の調和を保つといった行動ができることが、ベテランとしての信頼につながります。
また、積み上げてきた経験を言語化し、チームに還元することで、職場全体の成長にも貢献できます。自分の学びを伝えることで、自身の知識もより深まり、学びの循環が生まれていきます。専門性と人間性のバランスが、真に信頼される薬剤師への道を開きます。
周囲への目配りや思いやりのある行動が、組織全体の安心感にもつながっていきます。
